【追記11/06/08】
この日記は、バターケースの開発途上に起きた
解決すべき問題を、その当時、書き記したものです。
現在は、解決しております。
ご参考までに、お読みください。












ショックだった。

バターケースの表面が割れていたのだ。

最近は、朝、起きると、
冷蔵庫を開け、バターケースを見る。
それが日課となっている。

3月はじめから、
冷蔵庫での実戦テストをしているバターケース。
フタの表面が割れていたのだ。

木目に沿って走る、1本の微細なクラック。
わが目を疑い、そこを何度もなでてみたが、
やっぱりクラックはそこにあった。

紹介文もまとまった。
撮影用も含めた第1ロットの商品も完成した。
あとは写真をとって、webページをつくれば、
約束の3月20日には、なんとかこぎつける。

そう考えていた矢先の出来事だった。


お待ちいただいている方へ。
現状では、発売することができません。
考えようによっては、お手元にお届けする前に判明し、
ご迷惑をお掛けしないで済んだ、ということなのですが…。
誠に申し訳ありません。
深くお詫び申し上げます。


対策としては、塗装についての見直し、
塗料を変更することになります。

これまで、オイル系の塗料を使用していましたが、
より浸透性の高い塗料を採用し、
表面の割れを防ぐようにします。

テスト用のバターケースに、
新たな塗料で塗装し、
その効果を確かめるため、冷蔵庫のなかでテストをする。
一定の時間が必要となります。


なぜ、こうなってしまうのか?
それは、まさしく、冷蔵庫に入れるものだからなのです。

こんな私でも、プロの木工職人ではあるので、
木の箱を壊れないよう作ることは、
難しいことではありません。

ただ、冷蔵庫のなかのコンディションを
十全に理解していなかった。
あえていえば、想定外だったのです。
おのれの見込みの甘さ、恥じるばかり。


なぜ、冷蔵庫だとそうなるのか、
バターケースの表面が割れるのか?

冷蔵庫のなかは、とても乾燥しているから。
湿度にして、おおよそ20%ぐらい。
砂漠のように、カラッカラなのだ。

よって、
バターケースの外側は、庫内の乾燥した空気のなかで、
極度に乾燥する。

一方、内部はバターの水分で湿度が高くなり、
シケってくる。

ということは。
お分かりいただけるでしょうか?
バターケースという箱においては、
内と外で、大幅な湿度差が生じるのです。


そうなると、どうなるのか?

木というのは
乾燥すると縮む。
いっぽう、湿気を帯びると膨らむ。

よって、バターケースという箱は、
この内と外の湿度差で、ゆがんでしまうのです。

もちろん、そのゆがみの対策は施してあり、
かなりの強度が確保してあるのですが、
その結果、木材自体にストレスがかかり、
表面が割れてしまったのです。

なので、木そのものの表面の強度を上げるための塗装をする。
そういうわけなのです。


しばらくお待ちください。
こんどは時期を設定しません。
さすがに衝撃を受けて、いまはなにもお約束できません。
カゼをひいてしまったようです。
もう、ショックです…。
1日、2日、休んでから、
また、取り組みたいと思います。

すでに、お申し出いただいている方には、
個別にご連絡を差し上げます。

もし、これが会社組織でやってることなら、
それなりのペナルティは免れない。
個人でやってる私は、お客様を失うのみ。


今回はイラストはお休みです。

それでは。
またお越しいただけるとうれしいです。


■2011/03/18■


【追記11/06/08】
木割れの問題は、現在、解決しております。
ご安心ください。




archives
Illustration:Motoko Umeda
【Link】バターケースについての工房内リンク
冷蔵庫の砂漠
2008年4月〜2011年3月 工房創成期の軌跡
日記アーカイブス
スクエアクラフトの
木製のバターケース
「リアルバターケース」
くわしくは工房HPの
「木のクラフト商品紹介」をご覧ください