すこし前のことだけど。

梅雨のさなか、
中古の木工機械を見に、
あちこちへ出向いた。

水しぶきを上げて中央道。
ワイパーが役に立たない豪雨の国道19号。
雷鳴とどろく国道20号。

各地の業者へと、クルマを走らせた。
けっこう遠くにも行った。

必要な機械があったからだ。
ごく基本的な機械ではあるのだが、
機能面で、これじゃないとね、というものが多くあったからだ。

ご対応いただいた業者の皆さま、
ありがとうございました。


そんなこんなで、
東奔西走、木工機械行脚。

ある日のこと。
むかし住んでいた街へ行くことになった。
意図したわけでなく、なりゆきでもなく、たまたま、偶然に。

中央道をひた走り、インターを降りた。
なつかしい交差点に、初夏の強い日差し。
その光線は、なつかしの街路樹の下に、濃い影をつくる。
その並木の影の向こうに、
しばしば行ったスーパーマーケット。

幾度も通った近所のラーメン屋さんで、
ひさびさに食べた、中華そば。
若い夫婦だけで切り盛りしていた店は、
パートさんが加わり、いっそう繁盛していた。


なつかしい場所に立つ、身を置いてみる。
過去と現在を結ぶ時間軸。
その上に点在する、過去の出来事がよみがえる。

過去の自分と、現在の自分。
私は、変わったのだろうか?

たぶん、少しは変わっているだろう。

ラーメンの味は、少しだけど、変わっていた。


■ 2010/07/28 ■



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Illustration:Motoko Umeda
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