背後から南風
左手に常念岳













きょうは、強い南風。
この風が吹くと、自転車で走りたくなる。

南風に乗り、松本平を北に向かう
快速サイクリングが好きだ。

追い風を背中に受ければ、
ペダルはクルクルと気持ちよく回り、
スピードはグングン上がる。


松本を出発。
ルートは決まっていない。
気まぐれに右折、左折。

梓川を渡れば、田園風景。
幹線道を突き進むのもいいが、細い道を選ぶ。
旧街道の面影を残す道では、道祖神がお出迎え。


視線を上げれば、北アルプスの山々。
そのなかでもひときわ目を引くのが常念岳。

松本平の象徴ともいわれるこの山は、
造山運動と氷河がつくりあげたものだが、
何らかの意図が働いたとしか思えない。
シャープ、かつ均整のとれたフォルムは
見飽きることがない。

春夏秋冬、いつ見ても素晴らしいが、
初夏、雪が融けきるころは、躍動感があってよい。


安曇野に差しかかれば、
リンゴ畑にカラマツ林。
大町を過ぎれば、松本平とお別れ。

興が乗れば、さらに北上。
山々が両側に迫り、道路の選択肢がなくなる。
仁科三湖の入口だ。

湖面にプレジャーボートが浮かぶ木崎湖、
こぢんまりとして平和な景観の中綱湖、
やや荒削りな印象を受ける青木湖。
その佇まいは三者三様だが、静けさは共通項。

湖面から流れる風が、
回り続ける脚を冷却してくれるから、
無意識のうちに、標高を稼いでいる。

峠を越え、ダウンヒル。
白馬村へ。

ここでサイクリング終了。
松本から最短距離で60キロあまりだが、
寄り道、回り道しつつなので、
いつも、80キロ以上は走っている。

15年ほど前、自転車ツーリングで
ここを訪れて以来、
時間を作っては、松本へ出向き、
松本平の自転車ワンデイ・トリップを楽しんだ。

初夏の松本平は、
強い南風が吹くことが多い。

そんな日は、脚がウズウズしてくる。


■ 2008/06/25 ■



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Illustration:Motoko Umeda
2008年4月〜2011年3月 工房創成期の軌跡
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